おしろいばな

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

母はオレが３歳の時離婚して、育児放棄してオレは、ほぼほぼジイジとバアバに育てられた。

当然、普通の親とは違う訳で不憫な思いはさせまいとかなり甘やかされて育った。

そして当然、普通の親より早く、二人とも他界した。

母は今、どこにいるかわからない。

幸せで居てくれたらと思う。

甘やかされて育ったオレが普通の生活に満足するはずもなく現在に至る。

ジイジとバアバが残した遺産でだだっぴろい平家の一軒家に一人で住む。

コロナの影響で在宅勤務を余儀なくされ、家にいるオレではない。

毎晩、飲み歩いた。

ある日、風邪をひいた。

熱が３８度あった。

病院へ行った。

検査の結果はただの夏風邪。コロナではなかった。

病院の帰り、道端でおしろいばなが咲いていた。

種をさがした。

昔、バアバがおしろいばなのたねを潰して中か

ら白いこなを取り出しオレの鼻に塗った。

「おまえさん、男だから似合わないね」

若い株なのか種は見つからなかった。

ジイジとバアバは他界するまでオレをおまえさんと呼んだ。

種をもしみつけてたら、多分潰して、中から白い粉をだして鼻に塗っていたかもしれない。

おしろいばなは夕方から咲く。

オレはいつ花を咲かせるんだろう…

オレは母を恨んでいないことに今、気づいた。