天使と悪魔とオレ様と

今週のお題「自分にご褒美」

朝起きたら体がだるい。

仕事に行く準備を整え家を出る。

駅に向かう道すがら

耳元で悪魔が囁く

「YOU.サボっちゃいなよ」

反対の耳元で天使が囁く

「ダメよ、無理しちゃ」

…

…？

悪魔と天使が同じこと言ってら

コロナの影響で在宅で仕事ができるようにシステム開発のコンサルタントが来てるんだが、こいつが全く融通の利かない輩で、オレ達をシロウト扱いしてくだらない会議を長々と毎日夜遅くまで続けるもんだから、たまったもんじゃない。事後報告で充分対応できるっての。

オレら朝から出社して仕事終えた後、ヤツが妙に高いテンションで来社して、この気分の悪さがかれこれ１週間続いている。

天使も悪魔も言ってることだし…

サーボろっと♪

「家を出て駅まで来たんですけど、体調が優れないので病院行ってきます。」

コロナ渦で会社も緩くなったな

はてさて、何をしようかな

パチンコ屋が開くまでにまだ時間あるし…

と、その時目の前にスーパー銭湯のマイクロバスが止まる。

まるで、トトロの猫バスじゃね？

天使と悪魔が優しく肩を押す。

なんて日だ！

ジイちゃんばぁちゃんに紛れてマイクロバスに乗る。

最近できたばかりのスーパー銭湯で、駅から車で15分ほど離れた山の、眺望がいい場所に建てられている。

紅葉、綺麗だぜ

料金間違ってんじゃない？ってくらい贅沢な和モダンな作りになっている。

サウナはもちろん、露天風呂、寝湯、釜風呂、打たせ湯、高濃度炭酸泉、日本全国からわざわざ運んだという日替わり温泉…などなど。

ジェットバスに横たわりながら、どこまでも青い空に半月がぽかんと見えた。

ふと、会社に罪悪感を感じそうになった。

耳元で悪魔が囁く

「YOU.気にすんな」

反対側の耳元で天使が囁く

「今日は仕事は忘れてノンビリしなさい」

また、同じこと言ってら

一旦、風呂から上がり、調子に乗ったオレ様はマッサージへ。

極楽、極楽。

腹が減ったのでお食事処へ。

立派な日本庭園が観れる窓辺の席に通される。

お一人様すき焼き御膳を注文する。

スマホに会社からメールが来ている。

“無理しないようにしてください”

スマホから会社に電話をする。

「なんか、ただの過労みたいでした。今日は大事とって休ませていただきますね」

天使と悪魔が微笑みかける。

すき焼き御膳が運ばれてきた。

調子に乗ったオレ様。

まかないのオバちゃんに追加注文。

「刺身の盛り合わせと季節の天ぷらと生ビール、大で。あと茶碗蒸し頂戴。」

最高の贅沢。

リモート業務になったらちょくちょく来よっと