風のヒガンバナ
今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
まだ小学生の頃
秋のお彼岸には家族でお墓まいりに毎年行った。
お墓の周りに驚くような真っ赤なヒガンバナがあちらこちらに咲いていた。
ばあちゃんが
「ご先祖様がヒガンバナになってみんなに会いにきてるんだよ。だからむやみにつんではだめだよ。」
と毎年のように言っていた。
時は流れて、ばあちゃんは他界しお墓まいりもお盆に帰省した時に行くだけになった。
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものだ。
車の窓を開けると心地よい風が車内に流れ込んでくる。
コロナに対する意識が薄れてきたのか街はどこもかも混雑している。国道は渋滞で全く動かない。痺れを切らして裏道を探して国道をそれたが道に迷ってしまった。
道端にヒガンバナを見つけ思わず停車した。
「ご先祖様が会いに来てるんだよ。」
蘇るばあちゃんの言葉。
ばあちゃん、元気でしたか?
風に揺れるヒガンバナが頷いているように見える。