星に願いを込めて
七夕の短冊に「世界征服」と書いてみた。
アリーバは、巨大なUFOを見てから頭の中に話しかけてくるようになった宇宙の存在。今日も梅雨の雨雲の中から話しかけてきた。
アリーバ「ほぅ、すごい夢ですね、叶えてあげましょうか?」
俺「いや、冗談だから」
アリーバ「あなたは変わってます。私と今までコンタクトした人たちはみんな大金持ちになったりハリウッドスターになったり会社の社長になったり夢を叶えてらっしゃるのに…あなたの望みは天気を良くしてくれとかお腹の調子を良くしてくれとか、些細なものばかり」
俺「うん…よくわからないんだよ。でも結構、気に入ってるんだ、なんでもない自分」
アリーバ「素敵です。わたしはあなたのそういうところを愛してしまいました。」
俺「何それ、てか、アリーバって男じゃないの?」
アリーバ「自分でも性別はわかりません。性別そのものがないというか…宇宙には愛が溢れているのに地球に住む人々はそれに気づけてないのです。でもあなたはきっといつかその愛に気づく時が来ると私は確信しています。」
俺「なんで?」
アリーバ「思考がないからでしょうか。あなたはいつもあまりものを考えず、フワフワ生きてらっしゃる。あぁあなたと友達になれて私はなんて幸せなんでしょう」
俺「なんか褒められてるんだか…じゃあアリーバ、僕の夢叶えてよ」
アリーバ「はい、なんなりと」
俺「俺をもっと自由にしてくれる?」
アリーバ「それは無理です。」
俺「なんで?今なんでも夢叶えてくれるって言ったばかりじゃないか?」
アリーバ「だって無理ですよ、あなたはすでに自由な存在なんですから。気づいてらっしゃらないだけです。早くお気づきになれることを願ってますよ…」
俺「…なんかつまらないよ、アリーバ」
アリーバ「それも自由です。素敵なことじゃないですか、つまらないなんて…」
やっぱりアリーバの言ってることがよくわからない。
もう一枚、短冊を書いておこう。
「宇宙に溢れている愛にみんなが気付けますように…」