↓今ココ

読むとヒーリング効果がある。たぶん

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今週のお題「お気に入りのTシャツ」

 

アリーバは僕が巨大なUFOを見てから頭の中に話しかけくるようになった宇宙の存在。今日も曇り空の中から話しかけてきた。

 

アリーバ「どうされました?あなたには珍しく浮かない顔されて。先程までは穏やかでいらしたのに」

俺「俺、カレーうどんが大好きなんだよ」

「はい、暑いのに熱いものを、と思って見ておりました。」

「うまいんだけど汁が跳ねるんだよ。だからそうならないように慎重に食べてたはずなんだけど見てよ、ほら」

どこにいるかわからない空にTシャツのシミをみせた。

「それで気落ちされてらっしゃる?でしたら、その道の先にユニクロがあります。同じようなグレーのシャツが格安で…」

「わかってないな、アリーバは。このTシャツ、俺が初めて海外へ貧乏旅行した時の思い出が詰まってるんだよ。飛行機で窓の外を見たがっていた俺に窓辺の席を譲ってくれたビジネスマン、親切なタクシーの運転手にめちゃくちゃ高い料金を払ってたのが後でわかったこと、いつまで経ってもおつりをくれなかったコンビニ、バカみたいに甘かったペットボトルの緑茶、イキナリの雨でビルの軒先で雨宿りしてたら絶対に触るなと言われてた野良犬だらけになってビビったこと、寺院の塔のてっぺんで見た夕日、冷たいシャワーしか出ない安宿、ブーゲンビリアが咲く裏路地、甘辛いよくわからない屋台の料理、宿が見つからず夜を明かしたバスターミナル…アリーバ、聞いてる?」

「…なんだかよくわかりませんが。あなたの奇妙な思い出は許せるのに、あなたの大好物のカレーうどんのシミが許せない理由がわたしには理解しにくいところです。」

「無鉄砲で無計画ではちゃめちゃな旅行だったけど今思えばトラブルだらけなのにやたら元気が出る思い出なんだよね」

「トラブルのトラベルですね」

「お、いい事言うね!アリーバ!」

「機嫌、よくなられました?」

「このシミ、アリーバなら簡単に落とせるんでしょ?」

「簡単です!でもわたしは先程からジェラシーを感じております。わたしが愛してやまないあなたが愛している思い出にわたしがいないこと…カレーうどんのシミもこのわたくしも愛していただきたいのでちょっとだけイタズラしました。」

「何をしたの??」

「さあ?おや、空が晴れてきます。梅雨明けです。ではでは」

アリーバ!何したんだよ

 

雲がさわやかな風とともに青空に変わっていく。

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このシミ、洗濯したら落ちるかなぁ

 

あれ!綺麗なハート型になってる!!